「貧にして足る者は富める者,むしろ大いに富んでいると申せましょう。一方,限りなき富を有しながら,貧寒なること冬枯れのごとき者もある,絶えず貧への転落におびえているからです。」(『オセロー』,シェイクスピア,福田恒存訳,新潮社)
○欲張り続ける限り,どれだけ多くの物を持っていたとしても,満ち足りるということはありませんし,自分が持っている物を失うことに対する不安を常に抱えることになります。他方,欲張ることをやめさえすれば,たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても,満足することが可能になりますし,自分が持っている物を失うことに対する不安も少なくなるはずです。常に満ち足りた気持ちで幸せな人生を送りたいと願うのであれば,欲張って,より多くの物を手に入れようとするのではなく,欲張ることをやめ,自分が持っている物だけで満足できるようになる必要があるのではないでしょうか。自分と他者を比較することをやめるとともに,自分が持っている物の有り難さ(自分がそれらの物を持っていることの有り難さ)に常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身につけることなどを通じて,必要以上の物欲に支配されてしまわないようにしたいものです。(2021年5月26日)(4)(6)(18)関連