「人間は考えることが少なければ少ないほど,よけいにしゃべる。(モンテスキュー)」(『教養が滲み出る 極上の名言1300』,斎藤茂太監修,日本文芸社)
○「知る者は言わず,言う者は知らず」と言うように,物事を深く知れば知るほど,分からないことも増えてくるため,物事を本当に深く知っている人は,自分が無知であるという自覚を失いにくく,したがって,総じて謙虚であり,発言も控え目です。他方,物事を浅くしか知らない人は,生半可な知識を得て何でも分かったつもりになってしまいやすいため,自分が無知であるという自覚を失いやすく,自分の知識をひけらかそうとしたり,何事にも口を差し挟もうとしたりしてしまいがちです。また,物事を浅くしか知らない人は,往々にして自分の頭で考えるということを怠りがちであるため,「学びて思わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し」と言うように,学んだことが身に付かず,せっかくの知識を実生活において役立てることができません。しかし,知識は,ひけらかすためのものではなく,実生活において役立てられてこそ意味があるのですから,物事を学ぶに際しては,効率よく早分かり(早合点)することではなく,自分の頭で十分に考えて理解を深めること(十分に咀嚼(そしゃく)し,消化し,血肉化すること)をこそ心がけたいものです。(2021年5月15日)(12)関連