「私がしばらく前から感じているのは,日本の社会が不寛容の度を増してきている,ということである。平等,平等と唱えながら,絶えず他人と自分とを比較する比較地獄,嫉妬地獄に陥っているのではないか。そして,恵まれていると感じる人々に何かがあると,いっせいに攻撃を加える。」(『老と孤独の作法』,山折哲雄,中央公論新社)
○自分の人生に満足することができず,自分は不幸であると思い込んでいる人間は,幸せそうに見える他者を妬みやすく(「隣の芝生は青い」と言うように,そもそも,他者は自分より幸せそうに見えるものですが。),そのような他者の足を引っ張ろうとしたり,そのような他者をも不幸な状況に巻き込もうとしがちです。より具体的には,そのような他者の失敗や過ちを決して許そうとはせず,どのような小さな失敗や過ちに対しても,自分のことは棚に上げたまま,罵詈(ばり)雑言を浴びせたり,誹謗(ひぼう)中傷したり,正義を振りかざして不寛容に責め立てたりしがちです。したがって,自分は不幸であると思い込んでいる人間が増えれば増えるほど,世の中は不寛容でとげとげしく殺伐とした暮らしにくい(生きづらい)ものになっていきます。世の中をもっと寛容で和気あいあいとした暮らしやすいものにするためにも,一人でも多くの人間が自分の人生に満足し,自分は幸せであると思えるように(感じられるように),自分にできる限りの支援や協力をしたいものです。(2021年4月13日)(3)(17)(18)関連