「われわれは,幸福になるためよりも,幸福だと人に思わせるため四苦八苦している(ラ・ロシュフコー)」(『ぼくたちに,もうモノは必要ない。増補版』,佐々木典士,筑摩書房)
○自分は不幸であると思い込んでいる人間は,自分と他者を比較しがちであり,他者との勝負に勝って社会的な成功を収めなければ(他者から成功者と見なされなければ)幸せになれないと勘違いしがちです。しかし,社会的な成功を収めなくても(他者から成功者と見なされなくても),自分は幸せであると感じられるなら,その本人は幸せなのですから,社会的な成功を収めることよりも,どのような境遇にあっても幸せを感じられるように心の持ち方を改めること(幸せに対する感度を上げ,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになること)にこそ大切な時間やエネルギーを注ぐべきなのではないでしょうか。社会的な成功を収めたからといって必ず幸せになれるとは限りません。むしろ,財産や地位や権力や名声などに対する執着を強めれば強めるほど,普通の平凡な人生に幸せを感じることは難しくなり,幸せになることは困難になってしまうようのではないでしょうか。(2021年1月3日)(1)(4)(7)(14)(18)関連