「他人の欠点が目につくのは,自分のことを忘れているからである。(『賢者の思想』より)」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯短所や欠点や弱みのない人間などいません。誰もが,長所や美点や強みと共に短所や欠点や弱みを有しています。それが私たち人間というものです。私たちは独りでは生きていられず,他者の支援や協力があればこそ生きていられるのですから,他者の否定的な側面ばかりに目を向け,すぐに相手を嫌って心を閉ざしてしまうのではなく,他者の肯定的な側面にこそ積極的に目を向け,相手を好きになるように気長に心を開き続けたいものです。また,人間の犯す失敗や過ちは,誰もが犯す可能性のあるものばかりです。たとえ相手に非がある場合でも,(自分のことを棚に上げたまま一方的に)鬼の首でも取ったように正義を振りかざして声高に相手を責め立てるのではなく,同じ人間として共感的に「罪を憎んで人を憎まず」という姿勢で対応したいものです。(2020年8月21日)(3)(11)(17)関連