「才智ばしった人間の一番陥りやすい誘惑は,明らかに,隣人に対する巧妙な非難,嘲笑である。」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯人間は,他者を非難したり,嘲笑したりすることで,自分が偉くなったような錯覚に陥りがちです。しかし,他者との勝負など所詮は「団栗(どんぐり)の背比べ」であるに過ぎませんし,他者との勝ち負けにこだわっている時点で,自信の乏しさや劣等感の強さが明らかです。自分の生き方に自信を持ち,自足した生活を送れている人間や,自分の生き方に誇りを持ち,自分が進むべき道が明確に定まっている人間が,自分と他者を比較したり,他者と張り合ったりすることに強い興味・関心を持つとは思えないからです。他者を非難したり,嘲笑したりする暇があるのなら,いつでも満ち足りた気持ちで生活できるように自分の心の持ち方を改め,育て上げることや,人生に自分なりの理想を見いだし,その理想に向かって前進し続けることにこそ,大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(2020年8月22日)(3)(14)(17)(18)関連