「人間は柔順な動物であり，どんなことにでも馴れてしまうところの存在である。（ドストエフスキー）」（『格言の花束』，堀秀彦編，社会思想社）
○人間は，逆境（恵まれない境遇）にもすぐに慣れますが，順境（恵まれた境遇）にもすぐに慣れてしまいます。実際，たとえどれだけ恵まれた境遇にあったとしても，その境遇にすぐに慣れ，飽き足りなくなる（物足りなさを感じるようになる）とともに感謝する気持ちを忘れ，結局は，常に不満を抱えたまま，より恵まれた境遇を追い求めてあくせくし続けることになってしまいがちです。そして，場合によっては，不満を募らせるがままに自分は不幸であるなどと思い込むようにさえなってしまいます。しかし，私たちは本当は，生きているというだけですでに十分に幸せなのではないでしょうか（人体の免疫機能一つを取っても分かるように，生きているということは一つの奇跡であり，心から感謝すべき有り難いことです。）。そして，生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら，たとえどのような逆境にあったとしても，生きている限りは幸せであり続けることが可能になるのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることを当たり前と思うことなく（自分が今ここでこうして生きていられることに慣れてしまうことなく），その有り難さに常に深く思いを致し，心から感謝する習慣を，是非とも身に付けたいものです。（１）（４）（６）関連
