生まれ付き不幸な人間などいませんし,このような境遇に生まれ育てば,あるいは,このような境遇に身を置けば必ず不幸になるというような境遇などありません。境遇によって私たちの幸不幸が決まるなら,多くの人間にとって幸せは儚(はかな)い夢であり,境遇に恵まれない人間は,どれだけ努力をしても一生不幸のままということになってしまいます。それでは救いも希望もありません。確かに,恵まれない境遇というものはありますが,そのような境遇にさえ感謝すべきこと(世の中の肯定的な側面)を無数に見いだし,おおむね満ち足りた気持ちで一生を送ることができたなら,その人の人生は幸せな人生であったと言っていいのではないでしょうか。私たちの幸不幸を決めるのは,最終的には私たち自身,私たちの心の持ち方なのですから,強い意志と辛抱強い努力によって自分を変えることさえできるなら(人間は何歳になっても変わることができます。世の中は無常であり,世の中に変化しないものなど何もないのですから。),たとえどのような逆境(苦境)にあったとしても,幸せになることは誰にでも可能なはずです。