人間の欲望には際限がありませんので,欲張り続ける限り,たとえどれだけ多くのものを,たとえどれだけ贅沢(ぜいたく)な暮らしを手に入れたとしても,私たちの心が満ち足りるということはありません。欲張り続ける限り,欲しいものは次から次へと現れてくるため,喉の渇きが水を飲むことによって簡単に癒やせるのとは異なり,いつまでたっても自分の人生に満足することができませんし,自分が持っているもの(自分に与えられているもの)の豊かさに気付いたり,自分がそれらのものを持っていることの有り難さに感謝したりすることもできません。結局は,生きていくのに必要なものはすでに十分に持っているにもかかわらず,常に不満を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,自分の欲望に追い立てられ,振り回される形で,より多くのもの(生きていくのに必要以上のものまで)やより贅沢な暮らしを追い求めてあくせくし続けることになってしまい,心は貧しいままです。