「人間がこの世に存在するのは，金持ちになるためではなく，幸福になるためである。（スタンダール『文芸余論』）」（『心をささえる一言』，河盛好蔵，青春出版社）
○私たちは，社会的（世俗的）な成功を収めなければ（財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ）幸せになれないと勘違いしがちですが，社会的な成功を収めることと幸せであることは，まったく別のことです。実際，社会的な成功を収めていても不幸な人生を送っている人間はいくらでもいますし，社会的な成功を収めていなくても幸せな人生を送っている人間はいくらでもいます。また，社会的な成功に執着すれば執着するほど，不平不満，妬みそねみ，恨みつらみ，失意失望，自暴自棄といった心理状態に自分で自分を追い込んでしまう危険性は高まり，幸せからは遠ざかってしまうのが普通です。たとえ他者が羨むような社会的な成功を収めることができたとしても，幸せな人生を送ることができないのなら，そのことにいったいどのような意味があるのでしょうか。社会的な成功を収めなければ幸せになれないなどといったデマを鵜呑（うの）みにしたり，そのようなデマに踊らされたりすることなく，むしろ社会的な成功に対する執着を捨て去り，幸せな人生を手に入れること（普通の平凡な人生に生きる喜びや幸せを無限に見いだせるようになり，ひいては，生きているそれ自体に幸せを感じられるようになること）にこそ限りある大切な時間やエネルギーを使えるようになりたいものです。（前書き）（１）（２）（４）（６）（７）（８）（10）（14）（20）（21）関連
