「勉強は本来知らないことを学ぶことですから，大きな喜びを与えるはずです。」，「勉強は他者との競争であり，苦しくても歯を食いしばってするものだと，いつのまにか信じ込まされてしまった人は，大学などに進学したり，就職が決まったりして，もはや受験する必要がなくなると勉強しなくなってしまいます。」（『１００分de名著 アドラー『人生の意味の心理学』』，岸見一郎，NHK出版）
○私たちは，他者と競い合って社会的（世俗的）な成功を収めなければ幸せになれないなどと教え込まれ，そのようなデマを鵜呑（うの）みにしてしまっているからこそ，社会的な成功を収めることばかりに気を取られ，人生そのものを楽しむことを蔑（ないがし）ろにしてしまうのではないでしょうか。しかし，実際には，社会的な成功を収めたからと言って幸せな人生が約束されるわけではありませんし，人生そのものを楽しむことのできない人間，すなわち，生きていることそれ自体に喜びや幸せを感じることのできない人間が，幸せな人生を送れるはずもありません。社会的な成功などというものは，たとえそれを手に入れることができたとしても，それは単なる結果であるべきであって，人生の目的とすべきものではありません。社会的な成功を収めることなどに気を取られることなく，真に人間らしく実り多い（自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な），生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送ることにこそ，気持ちを集中し，力を注ぎたいものです。くれぐれも，他者と競い合って社会的な成功を収めなければ幸せになれないなどといったデマに踊らされ，本当に大切なものを見失わなしようにしたいものです。（１）（４）（６）（８）（10）（14）（20）関連
