「荘子は市井(しせい)の貧しい生活の中でも,のびのびとみずからを楽しんで悠々自適(ゆうゆうじてき)に生きたと伝えられています。」,「世間の常識や価値観にとらわれず,自由自在の精神をもって,自然からあたえられた命を十分に楽しんで,生き切ること」,「世間の評価に縛られて,自分は幸せだ,不幸だと一喜一憂するのはやめてはどうでしょうか。」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○他者と競い合って社会的(世俗的)な成功を収め,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれない,生き残れないなどと教え込まれ,そのようなデマを鵜呑(うの)みにしてしまっているからこそ,私たちは幸せになれず,むしろ,自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうのではないでしょうか。社会的な成功に執着すればするほど,心の目は曇り,普通の平凡な生活に生きる喜びや幸せを見いだすことが難しくなってしまいますし,不平不満,妬みそねみ,恨みつらみ,失意失望,自暴自棄といった心理状態に自分で自分を追い込んでしまう危険性は高まり,心の平安を保ち続けることが難しくなってしまいます。普通の平凡な生活に無限と言ってもいいほどの生きる喜びや幸せを見いだせるようになるためにも,たとえ社会的な成功にまったく無縁であったとしても心の平安を保ち続けられるようになるためにも,社会的な成功を収めなければ幸せになれない,生き残れないなどといったデマに踊らされないようにしたいものです。(1)(8)(10)(14)(21)関連