「人は,全世界を手に入れても魂(魂の満足)を失ったら,何にもならないじゃないか。」(「エドワード・バーナードの転落」(『モーム短篇選(上)』所収),行方昭夫編訳,岩波書店)
○人間の欲望には際限がありませんので,欲張り続ける限り,たとえどれだけ多くのものを手に入れたとしても,私たちの心が満ち足りるということはありません。欲張り続ける限り,必要以上のものを持っていながらも常に不満を抱えたまま,より多くのものを追い求めてあくせくし続けることになってしまいます。そのような人生は,たとえ全世界を手に入れることができたとしても,本当に幸せな人生と言えるでしょうか。常に満ち足りた気持ちで心安らかに幸せな人生を送りたいと望むのであれば,より多くのものを手に入れることではなく,足るを知り,自分が持っているもの(自分に与えられているもの)だけで満足できるようになることをこそ目指すべきなのではないでしょうか。必要以上に欲張ることをやめ,自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようになるなら,私たちはきっと,たとえそれが必要最小限のものであったとしても,自分が持っているものだけで満足できるようになるはずです。そして,そのようになれば,常に満ち足りた気持ちで心安らかに幸せな人生を送ることは格段に容易になるはずです。(4)(6)(21)関連