「余は今まで禅宗のいはゆる悟りという事を誤解して居た。悟りという事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違ひで,悟りという事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった。」(『病牀六尺』,正岡子規,,岩波書店)
○よくよく考えてみれば分かるように,生きているということは一つの奇跡です。心から感謝すべき有り難いことです。私たちは,ただ生きているというだけで,すでに十分に幸せなのではないでしょうか。そのことに気づき,感謝する気持ちを忘れさえしなければ,私たちは,たとえどのような逆境にあろうとも,たとえどのような不運に見舞われようとも,幸せであり続けることが可能なのではないでしょうか。「悟り」とは,要するに,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝し続けることによって,ままならない人生に不平不満を募らせたり,自暴自棄になったりすることなく,常に満ち足りた気持ちで平静で(心の平安を保った状態で)いられる境地(心境)を言うのではないでしょうか。(1)(2)(4)(6)(7)(9)(14)関連