経済格差は，平和な社会においては拡大する傾向があるようですが，これが真実であるなら，私は，戦争などが繰り返される経済格差の小さな社会で暮らすことよりも，経済格差の大きな平和な社会で暮らすことを望みます。この世の中に，命以上に価値のある大切な物はなく，また，たとえどのような経済格差社会に暮らそうとも，生きていくのに最低限必要な物やお金さえ確保できるなら（「健康で文化的な最低限度の生活」が確実に保証されているなら），心の持ち方次第で，真に人間らしく実り多い（自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な），生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送ることは誰にでも可能であると信じているからです。しかし，経済格差の小さな平和な社会というものは，本当に実現し得ないものなのでしょうか。私たちが，必要以上に欲張り続け，他者や他国と競い合い続けることをやめるとともに，社会の仕組みを変える実質的な決定権を持っている人たち（経済格差社会の上に位置する人たち）が，経済格差の是正を本気で望むなら（それを期待することは，なかなか難しいかも知れませんが。），経済格差の小さな平和な社会の実現は，決して不可能ではないと私は信じています。
