「単純なものこそ,変わらないもの,偉大なるものの謎を宿している。(マルチン・ハイデッガー)」(『ことばへの旅(上)』,森本哲郎,PHP研究所)
○私たちは,複雑難解なものを高級・高尚なものとして重んじ,単純明快なものを低級・低俗なものとして軽んじがちですが,人生の真理というものは本来単純明快なものなのではないでしょうか。また,人生の真理は何一つ隠されることなく,諺(ことわざ)や格言や名言といった簡単明瞭な形で,いつでも私たちの目の前に開示されているのではないでしょうか。人生の真理はいつでも私たちの目の前に開示されているにもかかわらず,私たちは,心の目の曇りゆえに,それらの深意(真意)を理解したり,それらの重要性に気付いたりできないだけなのではないでしょうか。人生の真理を体得・実践することによって実り多い幸せな人生を送れるようになるためにも,表面的な複雑難解さや単純明快さに惑わされることなく,また,肥大化した欲望(必要以上に欲張る気持ち)やデマに基づく迷信(他者と競い合って社会的な成功を収め,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれない,生き残れないなどといったデマに基づく間違った思い込み)や拝金主義のような偏ったものの見方・考え方などによって心の目を曇らせることなく,真理を真理であると見抜き,見分けられるだけの眼力(見識)を人生のできる限り早い時期に身に付けたいものです。(後書き)関連