「外にものを追いかけるのではなく,また,追い立てられるのでもなく,自分の内から湧き出る思い,自分は何を求め,何を望んでいるのだろうかという,心の声に耳を傾けてみるのです。・・・その自然の声なき声に耳を澄ませ,自然との絆を心に保ちながら生きることが,老子の無為(むい)自然の道ではないでしょうか。」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○私たちは,他者との勝ち負けや他者からの評価を過度に気にしがちですが,思い残すことのない充実した有益な人生を送る上において重要なことは,自分の身体の声や心(魂)の声にしっかり耳を傾けつつ自分の信念や自分が本当に納得することのできる(自分に恥じることのない)生き方を貫き通すことや,自分が信じる目標や理想に向かって自分が進むべき道を自分の歩幅で一歩ずつ前進し続けること(そのことを通じて,自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとも他者や社会の役に立つこと)なのではないでしょうか。他者との勝負や他者からの評価を気にする余り,自分に嘘(うそ)をつき,自分の信念を捻(ね)じ曲げてしまったり,自分が信じる目標や理想を見つけ損なってしまったり,見失ってしまったり,自分が進むべき道を前進し続けることを後回し(先延ばし)にしてしまったりしたとしたら,私たちはたった一度きりの人生に大きな悔いを残すことになるのではないでしょうか。他者との勝負や他者からの評価などに気を散らすことなく,自分の身体の声や心の声にしっかり耳を傾けつつ自分の信念や自分が本当に納得することのできる生き方を貫き通すことや,自分が信じる目標や理想に向かって自分が進むべき道を自分の歩幅で一歩ずつ前進し続けることにこそ,気持ちを集中し,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(11)(13)(14)関連