私たちが生きていられるのは他者のお陰であり,私たちは, 他者を信じ,他者を頼らなければ生きていられないのですから,生きるとは他者を信頼することである,と言ってもいいかも知れません。また,「自立」という言葉がありますが,これは他者に依存しないでいられるようになるという意味ではなく,他者と相互に依存し合える関係になるという意味です(他者にまったく依存せずに生きていられる人間などいません。)。自分が他者に支えられ,助けられるだけでなく,自分も他者を支え,助けられるようになるということです。したがって,自分は誰にも頼らずに生きているなどと勘違いし,実際には他者に支えられ,助けられるだけで,他者を支えたり,助けたりすることに無関心な人間は,いまだ依存状態を脱し切れていない人間ということになります。