「人びとの社会的な分業によって社会を安定させ,生産力を高めて産物をとどこおりなく流通させれば,人びとの欲を満たすことができ,民衆が生活に困窮することはなくなる」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○私たちが暮らしている社会は,人類史上最も豊かな社会と言えますが,このような社会で暮らすことができるのは,「分業」という協力体制の下で私たちが互いに支え合い,助け合っていればこそです。各自が自給自足の生活をしていたのでは,このような豊かな社会を築くことはできません(衣・食・住のどれ一つを取っても,完全に自給自足することなど不可能であると思いますが。)。また,私たちが自分が好きなことに打ち込み,自分の可能性を花開かせることができるのも,その他のことを他者が分担し,負担してくれているお陰です。このような豊かな社会で暮らせることを,あるいは,自分が好きなことに打ち込めることを当たり前と思うことなく,その有り難さに常に深く思いを致し,たとえどのような状況にあったとしても他者に対する感謝の気持ちや,そのような分業体制の一翼を担っている自分自身に対する誇りを,決して忘れないようにしたいものです。(4)(6)(11)(14)関連