「武者小路実篤は,子どもが生まれるとだれでもめでたいというように,命とは無条件にうれしいものなのだと語ります。彼はこの世に人として生まれ,成長し,人生をまっとうすることを「大いなる平凡」といいます。すべての人がその命を肯定し,成長を願い,人生を十分に生き切る「大いなる平凡」にこそ,真理があるのです。」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○人体の免疫機能一つを取っても分かるように,生きているということは一つの奇跡です。心から感謝すべき有り難いことです。生きているということは,ただそれだけで価値があることであり,幸せなことなのではないでしょうか。私たちは,何も偉業を成し遂げなくても(普通の平凡な人生を送っていたとしても),ただ生きているというだけで存在価値があるのであり,また,社会的な成功など収めなくても(財産や地位や権力や名声などを手に入れなくても),生きているというだけですでに十分に幸せなのではないでしょうか。ただ生きているというだけで誰もがその存在価値を認められるような社会になってもらいたいものですし,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けるなどして,生きていることそれ自体に幸せを感じられるような人間になりたいものです。生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,私たちはきっと,たとえどのような逆境にあったとしても,たとえどのような不運に見舞われたとしても,生きている限りは幸せであり続けることが可能になるはずです。(1)(4)(6)(14)関連