「自己の無知を自覚した者は,知恵を探求しようと動き出します。無知は恥ずかしいことであるどころか,むしろそれを自覚することこそが,人を知恵の探求へと向かわせる原動力になるのです。」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○自分は無知であるという自覚があればこそ,謙虚に学び続けることができるのではないでしょうか。そして,謙虚に学び続ければこそ,自分を人間的に成長(成熟)・向上させ続けることができるのではないでしょうか。慢心し,自分はなんでも知っているつもりになってしまえば,謙虚に学び続けることは難しく,そこで人間的な成長・向上は止まってしまい,あとは人間的に退歩・退行し,堕落するだけになってしまいます。自分を人間的に成長・向上させ続けることによって,自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとも他者や社会の役に立ち,思い残すことのない充実した有益な人生を送りたいと望むのであれば,自分は無知であるという自覚を失わないことが何よりも重要であると思います。物事を深く知れば知るほど,それに伴って分からないことも増えてくる,というのが真の学びの有り様(よう)なのですから,生半可な知識を得て何でも知っているつもりになってしまわないよう,くれぐれも用心(自戒)したいものです。(11)(12)関連