「ある一定の閾を超えると,経済成長のコストは経済成長の恩恵よりも概して高くなる」,「社会が富裕化すればするほど,その社会に暮らす人々は生活に満足しなくなる(ヤン・ピーター・スミス)」,「フラストレーションの成長率は生産の成長を凌駕する(イヴァン・イリイチ)」(『脱成長』,セルジュ・ラトゥーシュ,中野佳裕訳,白水社)
○私たちが暮らしている社会は,物質的には人類史上最も豊かな社会と言えます。しかし,社会が物質的に豊かになったことで,私たちの幸福度は本当に上がっているのでしょうか。むしろ,下がっているのではないでしょうか。社会が物質的に豊かになることと私たちの幸福度が比例していないとしたら,むしろ,反比例しているとしたら,これ以上社会が物質的に豊かになることに,いったいどのような意味があるのでしょうか。最低限度の衣食住が確保できないような状況は何としてでも改善・解消される必要があると思いますが(国の福祉政策などによって),最低限度の衣食住が確保できるなら,私たちは,物質的な豊かさではなく,心の豊かさ(幸福度を上げること)をこそ追い求めるべきなのではないでしょうか。私たちはそろそろ,物質的な豊かではなく心の豊かを追い求める方向に舵(かじ)を切るべきなのではないでしょうか。常にしかめっ面で(常に不満を抱えたまま)贅沢(ぜいたく)な暮らしをするより,常に笑顔で(常に満ち足りた気持ちで)質素な暮らしをする方が,きっと幸せなはずです。(4)(6)(7)(21)関連