「豊かさはお金だけに還元されない・・・豊かさを問い直すことは,貧しさについて考え直すことも意味する。貧しさもまた,経済的次元や物質的な極貧状態の次元にのみ還元されている。」(『脱成長』,セルジュ・ラトゥーシュ,中野佳裕訳,白水社)
○拝金主義に染まれば,「カネがすべて」になってしまいます。人間の存在価値や幸福度もカネをどれだけ持っているかによって評価されるようになってしまい,カネをたくさん持っている人間は存在価値や幸福度が高く,カネを余り持っていない人間は存在価値や幸福度が低いということになってしまいます。しかし,実際には,カネをたくさん持っているからと言って,その人間の存在価値や幸福度が高いとは限りませんし,カネを余り持っていないからと言って,その人間の存在価値や幸福度が低いとは限りません。そもそも人間は,生きているというだけで十分に価値があるのであり,生きているというだけで十分に幸せなのですから(生きているということは一つの奇跡,心から感謝すべき奇跡的な恵みなのですから。),持っているカネの多寡と人間の存在価値や幸福度との間には,本来は何の関係もないのではないでしょうか。カネの亡者になり,本当に大切なものを見失ってしまわないようにするためにも(人間は生きているというだけで十分に価値があり,幸せであるということが分からなくなってしまわないようにするためにも),拝金主義に染まらないよう,くれぐれも用心したいものです。(1)(2)(3)(4)(6)(7)(10)(14)(20)(21)関連