「金のあるものが高尚な労力をしたとは限らない。換言すれば金があるから人間が高尚だとはいえない。金を目安にして人物の価値をきめる訳には行かない。」(『漱石「こころ」の言葉』,矢島裕紀彦,文藝春秋)
○拝金主義に染まれば,お金がすべてになってしまい,何事も金銭的な価値によって評価されるようになってしまいます。人間も,稼ぐお金の多寡によって評価されるようになってしまい,お金をたくさん稼ぐ人間は価値の高い(存在価値のある)人間,お金をたくさん稼がない人間は価値の低い(存在価値のない)人間ということになってしまいます。しかし,お金をたくさん稼いだからといって実り多い幸せな人生が約束されるわけではありませんし(むしろ,お金に対する執着を捨て去ってこそ,実り多い幸せな人生を送ることは可能になるのではないでしょうか。),金銭的な価値以外の価値を見失ってしまえば,普通のつましい暮らしに生きる喜びや幸せを見いだしたり,生きていることそれ自体に人間の価値や幸せを感じることができなくなってしまいます(生きているということは一つの奇跡であり,人間は本来,生きているというだけで十分に価値があるのに。)。普通のつましい暮らしに生きる喜びや幸せを見いだせるようになるためにも,生きていることそれ自体に人間の価値や幸せを感じられるようになるためにも,拝金主義に染まり,金の亡者になってしまわないよう,くれぐれも用心したいものです。(1)(14)(21)関連