「資本主義の世界では,ほとんどの企業にとっては利潤をあげることが最優先であり,今のところ,利潤の追求は持続可能性の追求とは異なる方向を指し示すことがあまりに多い。」(『オリジン・ストーリー』,デヴィッド・クリスチャン,柴田裕之訳,筑摩書房)
○お金がなければ生きていけません。私たちは,そのような社会で生活しています。しかし,私たちが生きていくのに,いったいどれくらいのお金が必要なのでしょうか。贅沢(ぜいたく)さえ言わなければ,私たちが生きていくのに必要なお金など,本当は高が知れているのではないでしょうか。にもかかわらず,なぜ私たちは,お金ばかりに価値を置き,お金ばかりを必死になって追い求めてしまうのでしょうか。拝金主義に染まり,「金の亡者」になってしまえば,私たちは,お金以外の価値を見失い,普通のつましい生活に生きる喜びや幸せを感じたり,生きていることそれ自体に大きな価値を見いだしたりすることができなくなってしまいます。自然環境に対しても,取り返しがつかないほどに大きな負荷をかけてしまう危険があります。それは,幸せへと至る道が閉ざされてしまうということに他なりません。普通のつましい生活に生きる喜びや幸せを感じられるようになることの中にこそ,生きていることそれ自体に大きな価値を見いだせるようになることの中にこそ,幸せは存在するのですから,自然環境にかかる負荷の少ない持続可能性の高い社会を実現しつつ幸せな人生を送りたいと本気で望むのであれば,世の中の風潮に逆らってでも,お金の虜(とりこ)になり,必要以上のお金に執着してしまわないように,常に自分で自分を強く戒め続けている必要があるのではないでしょうか。(4)(6)(14)(20)関連