「欲捨てた者は怒りを制し,無量の慈愛の心を養う。(『ジャータカ』)」(『ブッダ伝』,中村元,KADOKAWA)
○人間の欲望には際限がありませんので,欲張り続ける限り,たとえどれだけ多くのもの(必要以上のものまで)を手に入れたとしても,私たちの心が満ち足りるということはありません。常に不満(怒りの火種)を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,より多くのものを追い求めてあくせくし続けることになってしまいます。当然のことながら,他者は競争相手(パイを奪い合う敵)とならざるを得ず,また,自然環境に対して過大な負荷をかけることになってしまいます。私たちは,常に満ち足りた気持ちで(心の平安を保ちつつ)幸せな人生を送れるようになるためにも,他者と仲良く助け合ったり,生きる喜びや幸せを分かち合ったりできるようになるためにも,自然環境にかかる負荷の少ない(持続可能性の高い)社会を実現するためにも,必要以上に欲張ることをやめるべきなのではないでしょうか。より多くのものを手に入れることにではなく,自分の欲望に自分の意志でブレーキをかけられるようになること(自分を出来る限り無欲・小欲の状態に近づけること)にこそ,関心を払い,力を注ぐべきなのではないでしょうか。(4)(6)(11)(20)(21)関連