「最も欲望の少ない者が最も豊かな者である。(プブリリウス・シルス)」(『世界ことわざ名言辞典』,モーリス・マルー編,田辺貞之助監修,島津智編訳,講談社)
○人間の欲望には際限がありませんので,自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けない限り,たとえどれだけ多くのもの(必要以上のものまで)を手に入れたとしても,私たちの心が満ち足りるということはありません。自分が持っているものの豊かさに気づくこともできず,心は貧しいままです。他方,自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようにさえなるなら,私たちは,たとえ必要最小限のものしか持っていなかったとしても,満足することが可能になります。自分が持っているものの豊かさにも気づけるようになり,心はかえって豊かになります。常に満ち足りた気持ちで心豊かに幸せな人生を送りたいと望むのであれば,私たちは,自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようになる必要があるのではないでしょうか。より多くのものを手に入れることにではなく,自分をできる限り無欲・小欲の状態に近づけることにこそ,関心を払い,力を注ぐ必要があるのではないでしょうか。(4)(6)関連