「他人の不幸に同情するのは，自分に無関係だと思えない時だけである。（ルソー）」（『世界ことわざ名言辞典』，モーリス・マルー編，田辺貞之助監修，島津智編訳，講談社）
○現代の日本のような豊かで安全で便利な社会においては，直接的には他者と支え合ったり助け合ったりする必要性が低下することもあり，私たちは，他者のことより自分のことばかりを考えるように（自分の欲望ばかりを優先するように）なってしまいがちです。そして，他者を協力相手（味方・仲間）ではなく，競争相手（敵）と見なすようになってしまいがちです。必然的に，困っていたり，苦しんでいたりする他者に対する関心や同情心は薄れがちです。しかし，実際には，直接的なものも間接的なものも含め，私たちは数知れぬ他者の支えや助けがあればこそ生きていられるのです。実際，私たちが生きていくのに欠かせない衣・食・住のどれ一つを取っても，完全に自給自足できている人などいないはずです。私たちは他者と支え合い，助け合わなければ生きていられない（その意味で，私たちと他者は一体である）という事実をしっかり肝に銘じ（心に刻み付け），他者を競争相手ではなく協力相手と見なせるようになるとともに，困っていたり，苦しんでいたりする他者に対しては，他人事ではなく我が事として積極的に手助けできるようになりたいものです。（11）（19）関連
