「２０１６年初めの時点で，世界の最富裕層６２人の資産を合わせると，最貧層の３６億人の資産の合計に匹敵する！」（『ホモ・デウス』，ユヴァル・ノア・ハラリ，柴田裕之訳，河出書房新社）
○巨万の富を手に入れたからといって，幸せな人生が約束されるわけではありません。にもかかわらず，なぜ私たちは，巨万の富を手に入れたがるのでしょうか。あるいは，巨万の富を手に入れた人間を羨んだり，妬んだりするのでしょうか。贅沢（ぜいたく）さえ言わなければ，人間が生きていくのに必要なお金など高が知れていますし，生きていくのに必要なお金さえ確保できるなら，本当はそれで十分なのではないでしょうか。お金に執着すればするほど，不平不満，妬みそねみ，恨みつらみ，失意失望，自暴自棄といった心理状態に自分で自分を追い込んでしまう危険性は高まり，幸せからは遠ざかってしまうのが普通ですし，必要以上のお金を手に入れることのために人生のほとんどを費やしてしまったとしたら，私たちはきっと，自分の人生に大きな悔いを残すことになると思います。人生は，すなわち，私たちがこの世の中で生きることができるチャンスは，たった一度きりなのですから，たった一度きりの人生を幸せなものにするためにも，また，たった一度きりの人生に大きな悔いを残さないようにするためにも，お金に対する執着など捨て去り，必要以上のお金を手に入れることにではなく，人生を楽しみ，味わい尽くすことにこそ（人生そのものに生きる喜びや幸せを無限に見いだせるようになることにこそ），限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。（前書き）（１）（２）（４）（６）（７）（８）（10）（14）（21）関連
