「私たちは絶えず収入を増やし，生活水準を高めるように仕向けられる。・・・昨日の贅沢品は今日の必需品になる。」（『ホモ・デウス』，ユヴァル・ノア・ハラリ，柴田裕之訳，河出書房新社）
○人間の欲望には限りがなく，放って置けば，とどまる所を知らず，どこまでも肥大化していきます。肥大化を奨励されたり，そそのかされたりすれば，なおさらです。その結果，私たちは，たとえどれだけ多くの物を手に入れたとしても満ち足りることができず，常に不満を抱えたまま，死ぬ瞬間まで，必死になってより多くの物（必要以上の物まで）を追い求め続けることになってしまいます。これでは，幸せな人生など送りようがありません。常に満ち足りた気持ちで，心安らかに幸せな人生を送りたいと本気で願うのであれば，私たちは，より多くの物を手に入れれば幸せになれるなどといったデマを鵜呑（うの）みにしたり，そのようなデマに踊らされたりすることなく（欲望の肥大化によって生活水準の向上がもたらされたのは事実であると思いますが，生活水準が向上すればするほど私たちの幸福度が高まるわけではありません。），強い意志を持って意識的に自分の欲望にブレーキを掛けられるようになる必要があるのではないでしょうか。自分の欲望にブレーキを掛けることさえできれば，私たちは，たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても，満ち足りることが可能になります。無い物ねだりばかりするのではなく，自分に与えられている命なども含め，自分が持っている物の豊かさに（自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに）常に深く思いを致し，心から感謝する習慣を身に付けるなどして，自分が持っている物だけで満足できるようになりたいものです。（４）（６）関連
