「自然の欲望には限度がある。誤った考えから生じる欲望はとどまるところを知らない。なぜなら,偽りには終点がないのだから。(エピクテトス)」(『欲望について』,ウィリアム・B・アーヴァイン,竹内和世訳,白揚社)
○人間の欲望の多くは,本能(自然)に基づくものではないだけに,限りがありません。実際,放って置けば,とどまる所を知らず,どこまでも肥大化していきます。喉の渇きのように,水を飲めば簡単に治るというようなものではありません。したがって,強い意志を持って意識的に自分の欲望にブレーキを掛けない限り,私たちの心が満ち足りるということはありません。たとえどれだけ多くの物を(必要以上の物まで)持っていたとしても,常に不満を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,必死になってより多くの物を追い求め続けることになってしまいます。たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても,常に満ち足りた気持ちで心安らかな(心豊かな)人生を送りたいと願うのであれば,私たちは,自分の欲望にブレーキを掛け,その肥大化を抑えられるようになる必要があります。そのためにも,まずは,私たちが生きていくために本当に必要な物は何かということを,正しく見極められるようになりたいものです。必要以上に欲張ることなく,本当は不必要な物に対する執着を捨て去るためにも。(4)(6)(7)(8)(10)(14)(20)関連