「善行の報酬は,善行を行ったことである。(セネカ)」(『世界ことわざ名言辞典』,モーリス・マルー編,田辺貞之助監修,島津智編訳,講談社)
○私たちは,他者と支え合い,助け合ってこそ生きていられるのですから,困っている他者や苦しんでいる他者の手助けをすることは,人間としての当然の務めと言えます。「困った時はお互い様」なのですから,他者に対する手助けは,優越感を味わいながら,あるいは,何らかの見返りや報酬(相手からの感謝や世間からの称賛など)を期待しながら行うようなことではなく,当たり前のこととして,たまたま現在は自分の方が境遇や幸運などに恵まれているだけであるという謙虚な気持ちで,むしろ,自分の方が恵まれていることでの負い目を多少なりとも感じながら慎み深く行うべきことであると思います。「情けは人の為(ため)ならず」とも言うように,他者に益をもたらす行動は,回り回っていつかは必ず自分に益をもたらすことにつながってくるわけですから,それ以上の見返りや報酬を期待するのは,欲張り過ぎなのではないでしょうか。(11)(19)関連