「経済的不平等それ自体は,人間の幸福を左右するものではない。格差問題と不公正問題や貧困問題と混同してはならない。」(『21世紀の啓蒙(上)』,スティーブン・ピンカー,橘明美・坂田雪子訳,草思社)
○たとえどのような逆境にあったとしても,自分は幸せであると心の底から思えるなら(例えば,「生きてるだけで丸儲(まるもう)け」(さんま)と心の底から思えるなら),その人は確かに幸せなのですから,人間の幸不幸を最終的に決めるのは,境遇ではなく心の持ち方(その境遇をどのように受け止めるのか,あるいは,そのような境遇をどのような心構えや心がけで生きていくのか)ということになります。したがって,社会における経済格差の大小と私たちの幸福度との間には本来何の関係もないはずです(もちろん,衣食住が最低限確保できないような状況は何としてでも改善・解消されるべきですが。)。にもかかわらず,なぜ私たちは,経済格差が大きいから私たちは不幸なのだ,などと思い込んでしまうのでしょうか。自分と他者を比較する習慣を改めさえすれば,経済的に豊かであることに必要以上に高い価値を置きさえしなければ,経済格差など,それほど気にならなくなり,経済格差の大小によって私たちの幸福度が左右されてしまうようなこともなくなるのではないでしょうか。自分で自分を不幸な状況に追い込んでしまうような習慣は是非とも改めたいものですし,くれぐれも,経済的に豊かでなければ幸せになれないなどといったデマを鵜呑(うの)みにしたり,そのようなデマに踊らされたりしないようにしたいものです。(1)(4)(6)(7)(10)(18)(21)関連