人生はままならないものであり，「一難去ってまた一難」，「前門の虎，後門の狼」，「泣きっ面に蜂」，「弱り目に祟（たた）り目」，「踏んだり蹴ったり」，「転べば糞（くそ）の上」などとも言うように，人生に困難や苦労は付き物です。間断なく困難や苦労に見舞われ続けるような時期さえあるものです。人生に付き物の困難や苦労ばかりに目を向けていたのでは，やがては人生に絶望し，生きているのが嫌になってしまうかも知れません。しかし，「明けない夜」や「やまない雨」や「抜けないトンネル」（綾小路きみまろ）はありません（世の中が無常であり，常に変化しているということは，一つの救い，一つの希望でもあります。）。「（楽あれば苦あり）苦あれば楽あり」，「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」，「禍福は糾（あざな）える縄の如（ごと）し」，「吉凶は糾える縄の如（ごと）し」，「禍福は隣り合わせ」，「禍（わざわい）の中に福あり」，「悪の裏は善」，「禍（わざわい）を転じて福となす」，「冬来りなば，春遠からじ」，「雨降って地固まる」，「「踏まれた草にも花が咲く」，「夜明け前が一番暗い」，「待てば海路の日和（ひより）あり」，「明日は明日の風が吹く」，「命あるところ，希望あり」，「笑う門に福来る」などとも言います。どのような困難や苦労に見舞われようとも，人生に絶望してはいけないのだと思います。困難や苦労に音を上げる（へこたれる）ことなく辛抱強く歩き続ければ，たとえどれだけ長いトンネルであったとしても，いつかは必ず光が見え，出口が見つかるはずです（私たちが人生に絶望するのは，いつかは必ず光が見え，出口が見つかるということを信じることができず，辛抱強く歩き続けることを途中で投げ出してしまうからなのではないでしょうか。あるいは，出口が簡単に見つかると期待しすぎて，出口が見つからないとすぐに短気を起こし，自暴自棄になってしまうからなのではないでしょうか。）。宇宙的な規模で考えれば，私たちの一生など，ほんの一瞬の出来事ですし，私たちが抱える困難や苦労など，砂粒ほどの大きさも重さも有していない宇宙の片隅（場末・僻地）の些事（さじ），あるいは，「コップの中の嵐」なのですから（宇宙的な規模で考えるまでもなく，私たちが抱える困難や苦労など，そのほとんどは，他者から見ればたいした困難や苦労ではないのですから），何事も深刻・重大に考え過ぎない方がいいのではないでしょうか。
