「本を称賛する書評家より,酷評する書評家のほうが有能だとみなされることが実験でわかっている」,「ジャーナリストは悪い面を強調することが自分たちの職務だと,つまり番犬となり,悪事を暴き,告発し,鈍い人々の目を覚まさせることにつながるのだと信じている。」(『21世紀の啓蒙(上)』スティーブン・ピンカー,橘明美・坂田雪子訳,草思社)
○賛同したり,肯定したりするより,批判したり,否定したりする方が,頭が良さそうに見えたり,かっこよく見えたりするものです。しかし,私たちは,世の中の肯定的な側面にこそ積極的に目を向け,世の中を肯定できるからこそ,自分がこの世の中で生きていられることや,この世の中に生まれてこれたことに感謝したり,幸せを感じたりすることができるのではないでしょうか。もし,世の中の否定的な側面ばかりに目を向け,世の中を肯定できないとしたら,自分がこの世の中で生きていられることや,この世の中に生まれてこれたことに感謝したり,幸せを感じたりすることができなくなってしまうのではないでしょうか。それは,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送ることを諦めることに他ならないのではないでしょうか。私たちは,世の中を否定し,不幸になるためにではなく,世の中を肯定し,幸せになるためにこそ生きているのであり,この世の中に生まれてきたのですから,世の中の否定的な側面ばかりに目を向けるのではなく,世の中の肯定的な側面にこそ積極的に目を向けるように心がけるべきなのではないでしょうか。批判したり,攻撃したりする対象を見つけたり,数え上げたりすることにではなく,賛同したり,感謝したりする対象を見つけたり,数え上げたりすることにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使うべきなのではないでしょうか。(9)関連