○世の中の否定的な側面にばかり目を向けていたのでは,生きる喜びや希望を人生に見いだすことは難しく,いつしか,自分の目の前にある幸せに気づくことさえできなくなってしまうのではないでしょうか。そして,挙げ句の果てには,他者を憎んでは他者に対して心を閉ざし,人生を憎んでは人生を悲観し,自分を憎んでは自分を粗末に扱うようになってしまった末に,自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうのではないでしょうか。しかし,世の中に否定的な側面があるのは事実ですが,世の中に肯定的な側面があるのも事実です。世の中の否定的な側面にばかり目を向けて肯定的な側面に目を向けようとしないのは,世の中の肯定的な側面にばかり目を向けて否定的な側面に目を向けようとしないのと同じく,余りにも偏った不公平な物の見方と言えるのではないでしょうか。人生の至る所に埋もれている(隠されている)無限とも言える生きる喜びや希望に気づけるようになり,ひいては,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるためにも,私たちは,世の中の否定的な側面だけではなく,肯定的な側面にも広く目を向けられるようになる必要があるのだと思います。さらに言えば,肯定的な側面にこそ積極的に目を向ける必要があるのだと思います。私たちは,この世の中を否定し,不幸になるためにではなく,この世の中を肯定し,幸せになるためにこそ生きているのであり,この世の中に生まれてきたのですから。(5)(9)関連