生き物には生来,危険を回避して生き延びるべく,自分の生存を脅かすような出来事や情報に注意や関心を向けやすく,それらを記憶にとどめやすい傾向があることに加え,災害や事件や事故などのネガティブな出来事や情報に焦点を当てて報道する傾向のあるマスメディアの影響などもあり,私たちは総じて,世の中の否定的な側面ばかりに目を向けやすく,世の中を否定的なものとして捉えてしまいがちです。しかし,改めて言うまでもなく,何事にも一長一短(一得一失・一利一害)があるのであり,世の中にも,否定的な側面だけではなく,肯定的な側面があります。実際,人の道に外れた悪行にさえ,「反面教師」という側面があります。肯定的な側面に目を向けようとせず,否定的な側面ばかりに目を向けるのは,否定的な側面に目を向けようとせず,肯定的な側面ばかりに目を向けるのと同じく,余りにも偏った不公平なものの見方と言えるのではないでしょうか。私たちは,放って置けおけば世の中の否定的な側面ばかりに目を向けてしまう傾向があるわけですから,世の中の肯定的な側面にこそ積極的かつ意識的に目を向ける習慣を身に付ける必要があるのではないでしょうか。