「(現代人は)豊かで便利であるのは当たり前,満ち足りていることが当たり前,少しでも気に障ることがあると我慢できない。」,「何でもかんでも我慢しないで要求すること,文句があれば何であれどんどん言うこと,それを自由である,幸福であると考えているとすれば,ちょっと違うんじゃないかな,それはむしろ幸福から遠ざかっているんじゃないかな,という気がしないでもありません。」(『それでもこの世は悪くなかった』,佐藤愛子,文藝春秋)
○私たちが暮らしている社会は,人類史上最も豊かで安全で便利な社会と言えます。にもかかわらず,私たちは,そのような社会で暮らせることに感謝するどころか,そのような社会で暮らせることを当たり前と思い,むしろ,社会や自分の人生に対して不平不満ばかりを募らせてしまいがちです。そして,挙げ句の果てには,自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまいがちです。しかし,そのような社会で暮らせることを当たり前と思うことなく,その有り難さに気づき,感謝する気持ちを忘れさえしなければ,社会や自分の人生に対して不平不満ばかりを募らせてしまうようなことはなくなるのではないでしょうか。そして,常に満ち足りた気持ちで幸せな人生を送ることが可能になるのではないでしょうか。幸せな人生を送りたいと本気で望むのであれば,まずは,このような豊かで安全で便利な社会で暮らせることの有り難さに深く思いを致し,心から感謝できるようになる必要があると思います。そして,最終的には,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに心から感謝できるようになり,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになる必要があると思います。(4)(6)関連