「最もよいことは何か。やることをりっぱにやることである。(ピッタコス)」(『世界ことわざ名言辞典』,モーリス・マルー編,田辺貞之助監修,島津智編訳,講談社)
○私たちは,人生が行き詰まると,それをすぐに他者や社会や境遇(恵まれない境遇)や運命(不運)のせいにしがちです。しかし,他者や社会をいくら恨んだところで,他者や社会をいくら責め立てたところで,境遇や運命をいくら呪ったところで,境遇や運命をいくら嘆き悲しんだところで,人生の行き詰まりは打開できません。そもそも,人生の行き詰まりの原因や責任が他者や社会や境遇や運命にあるとは限りませんし,たとえ人生の行き詰まりの原因や責任が他者や社会や境遇や運命にあったとしても,他者や社会や境遇や運命を自分の思い通りにすることなど絶対にできないからです。人生の行き詰まりを打開したいと本気で望むのであれば,人生の行き詰まりの原因や責任は自分にある(あるいは,自分にもある)と考え直し,自分(自分の心の持ち方や考え方や生き方など)を変えることや,自分にできること一つ一つに全力で取り組み,最善を尽くすことにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使うべきなのではないでしょうか。そのように強い意志を持って努力をしても,人生の行き詰まりが必ず打開できるとは限りませんが,自分の人生を自分の意志や努力によって主体的に切り開いていこうとする生き方は,ただ他者や社会を恨んだり,境遇や運命を呪ったりしているだけの生き方に比べたら,よほど意味のある建設的な生き方と言えるのではないでしょうか。(15)関連