「「あたり前のこと」は一度「あたり前」になってしまうと,誰も意識しなくなる」(『逆説の日本史1 古代黎明編』,井沢元彦,小学館)
○生きているということは,例えば,人体の免疫機能ひとつを取っても,よくよく考えてみれば一つの奇跡です。心から感謝すべき有り難いことです。しかし,私たちは,自分が今ここでこうして生きていられることを「当たり前」と思いやすく,感謝する気持ちをすぐに忘れてしまいがちです。感謝する気持ちを忘れるどころか,ままならない人生に不平不満ばかりを募らせてしまいがちです。挙げ句の果てには,自分は不幸であるなどと思い込むような事態にさえ陥ってしまいます。そのような事態に陥ってしまわないようにするためにも,私たちは,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さ(私たちの命を守り,私たちが生きることを可能にしてくれている大自然の神秘的とさえ言える精妙な働きや仕組みの有り難さ,私たちの生活を成り立たせてくれている数知れぬ他者の直接的又は間接的な支えや助けの有り難さなど)に常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付ける必要があるのではないでしょうか。そのような習慣を身に付け,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,私たちはきっと,たとえどのような逆境にあろうとも,たとえどのような不運に見舞われようとも,生きている限りは幸せであり続けることが可能になるはずです。(1)(2)(4)(6)関連