「人を説き伏せるのは,話し手の言葉ではなく,その人柄だ。(メナンドロス)」(『世界ことわざ名言辞典』,モーリス・マルー編,田辺貞之助監修,島津智編訳,講談社)
○私たちは,失敗や過ちを犯した相手に対し,鬼の首でも取ったかのように騒ぎ立てたり,正義を振りかざして不寛容に責め立てたりしがちですが,愛情や真心に裏打ちされていない言葉は相手の心に届きませんし(その内容がどんなに正しくても),厳しく非難したり,厳しく罰したりするだけでは,相手を他罰的(他責的)・悲観的・自棄的にさせるだけであり,真の反省や更生を促すこともできません。人間が犯す失敗や過ちのほとんどは,誰もが犯す可能性のあるものばかりなのですから,他者が失敗や過ちを犯した際には,その責任は潔く取ってもらい,その罪は誠実に償ってもらいながらも,「罪を憎んで人を憎まず」という精神を忘れることなく,同じ人間同士として,できる限り共感的かつ寛容に相手と向き合うことを心がけたいものです。失敗や過ちを犯した他者を不寛容に責め立てるということは,いつか自分も他者から不寛容に責め立てられるということに他ならないということを,しっかり肝に銘じたいものです。(3)(17)関連