「反対のための反対,悪意,悪口,ただ否定することしかできないものを,ことごとく厳しく斥けなければなりません。ただの否定からは,何も生まれてこないのですから。(ゲーテ)」(『名言の智恵 人生の智恵』,谷沢永一,PHP研究所)
○他者が失敗や過ちを犯したからといって,見下したり,嘲笑したり,鬼の首でも取ったかのように騒ぎ立てたり,正義を振りかざして責め立てたりすることは控えたいものです。人間が犯す失敗や過ちは,そのほとんは誰もが犯す可能性のあるものばかりですので,他者を不寛容に責め立てるということは,いつか自分が他者から不寛容に責め立てられるということに他なりません。また,他者を軽んじたり,厳しく非難したりすることは,多少の憂さ晴らしにはなるでしょうし,自分が偉くなったようで気持ちがいいかも知れませんが,愛情や真心に裏打ちされていない言動は,決して相手の心には届きませんし,相手を成長させたり,更生させたりする力にはなりません。むしろ,かえって相手を意固地にさせ,素直に反省することを難しくさせてしまったり,相手を他罰的(他責的)・悲観的・自棄的にさせ,成長や更生を困難にさせてしまったりするだけです。ただの否定からは,意味のあるものは何も生まれてきませんし,私たちは他者の支えや助けがなければ生きていられず(改めて言うまでもなく,人間は孤立無援の状況では生きていられません。),その意味で,私たちと他者は本来一体なのですから,「人を呪わば穴二つ」とも言うように,他者を否定するということは,回り回っていつか必ず自分を否定するということにつながってくるはずです。同じ人間同士なのですから,他者に対しては常に共感的に,できる限り寛容かつ友好的な(相手の否定的な側面にばかり目を向けるのではなく,肯定的な側面にこそ積極的に目を向けるような)対応を心がけたいものです。(3)(5)(9)(11)(17)(19)関連