「生きる手段ばかりをもとめて一生を終わるとは。」(『古代ローマの言葉』,ブノワ・デゾンブル編,中居久夫・松田浩則訳,紀伊國屋書店」)
○お金がなければ生きていけませんが,贅沢(ぜいたく)さえ言わなければ,私たちが生きていくのに必要なお金など,本当は高が知れているのではないでしょうか。それなのに,なぜ私たちは,贅沢な暮らしを追い求め続け,一生のほとんどをお金を稼ぐことに費やしてしまうのでしょうか。これではまるで,お金を稼ぐためにこの世の中に生まれてきたようなものです。しかし,お金を稼ぐのは,あくまでも人生の手段であり,人生の目的ではないはずです。私たちは,お金を稼ぐことが人生の主たる目的になってしまわないようにするためにも,贅沢な暮らしや経済的に豊かさなどに,余り大きな価値を置かない方がよいのではないでしょうか。真に人間らしく実り多い(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送るという人生の目的を達成し,実現するためにも,質素な暮らしや心の豊かさなどにこそ,より大きな価値を置けるようになる必要があるのではないでしょうか。(4)(6)(14)(20)関連