「物なぞいくら持ってもそれは生活の真の充実をもたらすものでない,人を幸福にするものでない・・・幸福とはひたすら心の持ちようにのみかかわることで,物のゆたかさとは直接関係はない」(『足るを知る 自足して生きる喜び』,中野孝次,朝日新聞社)
○たとえどれだけ多くの物を持っていたとしても,自分がそれらの物を持っていることを当たり前と思い,感謝する気持ちを忘れるとともに,より多くの物を求め続けるなら(必要以上に欲張り続けるなら),私たちはいつまでたっても満足することができません。常に不満を抱えながら,いつしか自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうのが落ちです。他方,たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても,自分がそれらの物を持っていることの有り難さに常に深く思いを致し,感謝する気持ちを忘れることなく,足るを知るなら(必要以上に欲張ることをやめるなら),私たちは今すぐにでも満足することができます。常に満ち足りた気持ちで,幸せな人生を送り続けることが可能になります。要するに,人間の幸不幸は心の持ち方次第です。たくさんの物を手に入れることにではなく,自分の心の持ち方を変え,自分が持っている物だけで満足できるようになることにこそ,関心を払い,力を注ぎたいものです。(4)(6)(7)(14)関連