「腹におさめたときと同じ状態で,食べ物を吐き出したとするならば,それは,よく消化できてないことの証拠にほかなりません。」(『エセー 1』,モンテーニュ,宮下志朗訳,白水社)
○知識は,実生活に取り入れられ,日々の生活に役立てられてこそ意味があります。したがって,そのためにも,知識は,頭に詰め込んだまま(あるいは,クラウド上にため込んだまま)にするのではなく,自分の頭でしっかり考えて咀嚼(そしゃく)し,消化し,生活の知恵として血肉化する必要があります。私たちは,新たな知識を得ると,ついつい自己顕示的にひけらかしたくなってしまいますが,「知る者は言わず,言う者は知らず」とも言うように,それは,その知識を十分には自分のものとしていないことを示すのではないでしょうか。知識をいくら受け売りできたところで,自分のものとして身に付いていなければ,その知識を実生活において生かすことはできません。知識を受け売りしている暇があるなら,その知識を自分のものとして血肉化することにこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使いたいものです。(前書き)(12)関連