「基本的には生きていさえすればだいじょうぶ,と伝えたい。/とかく生産性の高い人間が賞賛されたり,結果を出しているひとばかりが大きい顔をできたりする風潮が強まっていきがちな昨今である。でも弱い立場のひと,心細いひと,生産性礼賛(らいさん)のような考えに馴染(なじ)まないひとだって,安心して存在していいに決まっている。」(『幸福論 「しくじり」の哲学』,中田敦彦,徳間書店)
○私たちは,他者との勝負に勝ち,他者が羨むような社会的成功を手に入れなければ幸せにはなれないと勘違いしがちであり,普通の平凡な人生を無価値な,あるいは,価値の低いものとして見下しがちです。しかし,生きているということは,よくよく考えてみれば一つの奇跡なのであり,本当は,私たちは生きているというだけですでに十分に幸せなのであり,生きているということは,ただそれだけで十分に価値のあることなのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに深く思いを致し,社会的成功を手に入れなければ幸せにはなれないなどという迷信から目を覚ますことによって,生きていることそれ自体に幸せや価値を感じられるようになりたいものです。生きていることそれ自体に幸せや価値を感じられるようになるなら,普通の平凡な人生の有り難さにも気づけるようになるでしょうし,他者との勝負に勝つことなど,きっとどうでもよくなるはずです。(2021年6月17日)(1)(4)(6)(7)(10)(14)(18)(20)関連