「他人の眼を借りてはじめて,われわれは自分の欠点を見ることができる。(中国の諺(ことわざ))」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯人間は,自惚(うぬぼ)れやすく(自分の欠点や短所にはなかなか気づきにくく),慢心しやすい生き物です。しかし,慢心すれば,謙虚に学ぶ姿勢や向上心を失い,そこで人間としての成長は止まってしまいます。また,自分を過信して,どうしても独り善がりになってしまいがちです。そのような状況に陥らないようにするためにも,人間は慢心しやすい生き物であるという自覚を常に持ちつつ,他者の言葉(特に,こちらの耳が痛くなるような言葉)にはいつでも素直に耳を傾ける習慣を身に付けるべきであると思います。もちろん,他者からの評価を気にするあまり,自分の信念をねじ曲げてしまったり,他者からの評価に振り回された挙げ句,自分が進むべき道を見失ってしまったりするようでは元も子もありませんが。(2020年5月8日)