「自分には厳しく,他人(ひと)には寛大であれ。そうすれば君は敵を持つことがないであろう。(中国の金言)」(『文読む月日(中)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯人間は自惚(うぬぼ)れやすく,慢心しがちです。しかし,自惚れた人間は痛い目に遭いやすく,慢心した人間は,独善に陥るとともに人間的な成長や成熟が止まってしまいがちです。それらのことを肝に銘じ,自分が無知であることや未熟であることを常に自覚し,何歳になっても謙虚さを保ち続けるように心がけたいものです。また,人間は,自分の問題点や失敗を棚上げしたまま他者の問題点や失敗を不寛容にあげつらい,責め立てようとしがちです(そのことを通じて,あたかも自分の方が偉くなったような錯覚に陥ることを好む傾向があります。)。しかし,この世の中に問題点のない人間などいませんし,人間が犯す失敗は誰もが犯す可能性のある失敗ばかりです。私たちはみな同じ人間なのであり,要するに敵ではなく仲間なのですから,他者との勝ち負けなどにこだわらず,互いにもっと共感的かつ寛容になり,他者の否定的な側面ばかりに目を向けるのではなく,他者の肯定的な側面にこそ積極的に目を向けるように心がけたいものです。(2020年9月8日)(3)(12)(17)関連