「増上慢(ぞうじょうまん)に陥った者は,終生賢者と交際しても,匙(さじ)が自分が人間の口に運ぶご馳走(ちそう)の味を知らないように,真理を知らないままで終わる。」(『文読む月日(中)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯人間は自惚(うぬぼ)れやすい生き物ですが,慢心し,謙虚さを失えば,そこで人間的な成長(成熟)・向上は止まってしまいます。そして,その後は,退歩し,堕落するばかりの人生を送ることになってしまいます。なぜなら,慢心することで人間は,自分が無知であり,未熟であることを自覚しての真摯に学び,努力する姿勢や,素直に反省する態度(自分の失敗や過ちを素直に認め,それらを成長・向上の糧にしようとする前向きな態度)を失ってしまうからです。自分を人間的に成長・向上させ続けることによって自分の可能性を十分に花開かせ(望むらくは,そのことを通じて社会に貢献し),思い残すことのない充実した人生を送るためにも,何歳になっても初心を忘れることなく,謙虚さを失わないようにしたいものです。(2020年9月18日)(11)(12)関連