「自分というヒトと他者というヒトを比較しはじめると,そのとたんに嫉妬が芽生え,不幸への転落がはじまる。比較することの不幸,が出現するのである。」(「三つの提言」(『文藝春秋 新幸福論 本当の幸せとは?』所収),山折哲雄,文藝春秋)
◯自分と他者を比較しようとするからこそ,ますます現状に満足することができなくなってしまい,他者を羨んではより多くのものを手に入れようとしたり,不平不満ばかりを募らせては自分は不幸であると思い込んだりしてしまうのだと思います。そして,挙げ句の果てには,他者を妬んで他者の足を引っ張ろうとしたり,やけを起こして衝動的に道を踏み外してしまったりするのだと思います。そのような転落人生を送りたくないのであれば,そもそも自足することができていないからこそ自分と他者を比較したくなってしまうのでしょうから,どのような状況に置かれようが常に満ち足りた気持ちでいられるように,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さを常に噛(か)み締め,感謝しつつ,強い意志を持って欲望の肥大化を自制し続ける必要があるのでははないでしょうか。(2020年4月30日)